日本から米国へ輸出されたモノは、消費された後は使用を重ねるにつれて消耗していき、やがて寿命を迎えます。
次々と輸出しても、古いモノにかわって新たなモノが価値を持つようになります。それに対して、FXで米国から日本が受け取る米ドルは、受取額の蓄積とともに米国債での運用を重ねるにつれて金額が増えていきます。
米ドルがFXでの外貨準備として大きく蓄積されると、やがてその価値を低下させる要因となります。お金には寿命がないため、その適正水準を超えた過度の発行とともに、1ドルあたりの価値が減少するからです。
また、日本からの米国債の購入代金が、めぐりめぐって再び日本が輸出で受け取る米ドルと化すことになるのです。
したがって、経常収支マイナス・資本収支プラスの消費大国の米ドル通貨は、価値下落への構造(FXの円相場で言えば円高・米ドル安の進行への構造)を有すると言えます。
2007に顕在化しだサブプライム問題”に続く景気落ち込み以降は、日米ともに経常収支・資本収支の赤字額ないし黒字額はいくらか縮小しました。
しかし、「輸出立国の日本」と「消費大国の米国」という状態には依然変わりなく、円高に伴う輸出企業の採算悪化や保有する米ドルの価値下落への懸念は払拭されていません。
資源の乏しい日本が輸出で稼ぐのは決して悪いことではありません。大切なのは、稼いだ外貨を過度に貯め込まないことです。稼いだ外貨の一定以上を外国からの輸入にあて”貿易不均衡”を是正することが、蓄積した外貨の価値目減りを緩和させるための、そして日本人が豊かな消費生活を満喫するための課題でしょうか。